暴れ者ヘッドロック
牛がいるぞ。
黒いタテガミをもうもうとなびかせ、
ロデオさながらに暴れ回る牛。
だだっ広い駐車場にはオレとヤツしかおらず
このままではあの鋭い角で突き殺されてしまう。
牛はオレに狙いを定め
バタバタと大暴れしながら突進してくるので
慌てて背を向けて逃げるのだが
身を隠す場所もなければ
四方は用水路に囲まれ逃げ場はない。
が、
水路沿いのガードレールとガードレールの間に
攻撃の当たらない安全地帯を発見。
ホッと胸を撫で下ろし、改めて件の牛を見ると
大勢の人間が組み合わさった珍妙な姿であった。
こんな感じ。
見た目は怖いがとんだ良い人だ
…というワケにはいかなかった。
暴れ者! 暴れ者!(あばれもの?)
と騒いだら近所のビルの窓から
赤い柔道着を来た男が飛び出してきて
オレにヘッドロックをかけて
その場から助け出してくれた。
なんかバカバカしくなって目が覚める。