鬼来る春

小さな田舎町の公民館脇の運動場に

七人の小人達が地ベタに座って泣いていた。

 

近寄ってオレも座り込み、

どうしたのかネとワケを聞いてみる…

 

彼らは只の小人ではなく「鬼」で、

行き場所を人間に奪われ泣いているのだという。

 

ナルホド鬼か。

見れば確かに赤鬼、青鬼、水色鬼。

む、桃太郎やかぐや姫のような出で立ちの者もいれば

グレートブリテンサイボーグ009)のような者もいる。

鬼といっても様々なのだね。(あと1名は忘却)

 

事情を聞いているうちに水色鬼が

ひときわ大きな声で泣き喚いた。

するとその度合いに比例して

強烈な雨風が巻き起こった。

 

うねり上がる暴風に、七人の鬼が方々に飛ばされてしまう。

 

大変だ!

 

慌てて彼らを探しに行くが、

ほど近い川に落ちた2名しか見つからない。

とりあえず現状を伝える。

 

(オマエら)2人しか見つからなかった。

残りは手分けして探そうではないか、と。

 

大雨で氾濫する川や水浸しになった田畑には

子供服や日用品、白骨化した様々な動物の死骸。

緊迫した気持ちで残りの鬼を探していると

不気味な静けさのある神社へと辿り着いた。

 

鬼を探して裏手に回ると

人も動物も立ち入った事もないのであろう池があり、

その水は時間が止まったかのように淀みなく

トプリとも動かないまま何百年もこのままなのだ。

シンとして空気も響かない水。

 

ゾクリと辺りを見渡すと、

神社の壁や原生林に囲まれ閉じ込められてしまっていた。

壁にはところどころ赤字で呪いの言葉が書かれており

何本かの樹木や床には内臓のレリーフが彫られていた。

 

ダシテ ダシテ!

しばらく出口を探して慌てる。

ていうか「これ以上はなんかやべえ」と思ったので

グイッとリキんで夢から覚めた。