I wish for...
ウチの実家に、あのヴィジュアル系バンドの大御所LUNA SEAの
SUGIZO(Gt)、INORAN(Gt)、真矢(Dr)が泊まりに来た。
なんでも明日に控えたライブの為に、早々に休みたいのだという。
ンな我侭が通ると思っているのか。
しかしINORANは勝手に二階に上がって
押し入れから布団を出して横になり、
SUGIZOは「悪いから」等と言いつつも
コタツの脇で横柄な態度で寝転がり始めた。
確かにオレは過去、彼らの音楽を好んで聴いてはいたが
図々しいその態度に憤慨し、何か一言言ってやろう
……と思ったその矢先
茶の間で両親と談笑していた真矢が状況を察し、
急いで階段を駆け上がり二人を叩き起こす。
なんでも真矢の話によれば、
RYUICHI(Vo)は潔癖過ぎるため他人の家では寝ない。
J(Ba)は別件で忙しく、来れなかったとのこと。
言い訳ンなってねえよ。
***
何故か追い出す事に成功し、彼らを駅まで送ることになった。
INORANは話してみるととても気さくで、
先程までの怒りも消え、メンバーで一番
好意的な目で見るようになっていた。
へえ。
確かに不気味だもんね。
ステージに居られたらたまらんもんね。
ギターぬるぬるしちゃったりしてな!
談笑しながら歩いていると、突然INORANはガクガクと震えだし
目と耳を塞いで地ベタにへたり込んで叫びを上げはじめた。
見ると神社の入口にぬらりひょんの石像……ではなく、よく見れば
あぶらすましやたんころりん、手の目等、主にまるはげ妖怪の石像があった。
おい違うぞ落ち突くんだ。
耳を塞いだ彼にオレの声は届かず、
涎をたらして白目を剥き痙攣するばかり。
が……なにか様子が変だ!
オレ「あーッ! あぁーッッ!」
Gackt「あーッ! あぁaーおッッ!」
叫ぶ我々を、天狗の石像が冷たく見つめていた。